平成19年度後期 仏教学特殊講義

<講義題目>

浄土教美術の形成と展開

<授業の目標>

浄土教が生み出したさまざまな造型作品について、その成立、伝播、変容、他の仏教美術との関係、さらにそれを生み出した信仰などについて考察する。


<学生の目標>

南アジア、中央アジア、そして日本で、仏教の文化がどのように伝えられたかを、浄土教美術とその信仰という具体的な例を通して知る。

<講義の目的および内容>

 大乗仏教の一大潮流である浄土教は、インドから中央アジア、中国、日本へと伝えられ、それぞれの地域で多様な文化を生み出した。とくに、日本では平安時代後期の末法思想や、いわゆる鎌倉新仏教を経て、日本仏教の主要な一角を占め、現在に至っている。その歴史の中で生み出された彫刻や絵画などの造型作品は膨大な量に及ぶ。
 この講義では、浄土教美術の背景となる浄土教の思想的基盤、関係諸経典の内容、阿弥陀信仰や浄土信仰の種々相などを明らかにした上で、インドから日本に至る浄土教美術を概観する。そこには阿弥陀像、来迎図、極楽浄土図、地獄絵、浄土曼荼羅図、二河白道図、高僧絵伝などさまざまな主題や形式がある。これらを順次取り上げて、主要な作品の解説、作品の背景、思想や文化的な意義などを紹介する。さらに、日本においては浄土教美術に先行する密教美術にもふれ、両者の関係についても考察する。(参考文献はこちらを参照)


<評価>

出席状況(40%),学期中の小レポート(30%)各学期末のレポート(30%)


<授業の予定と各回のテーマ>

第1回 10月1日 イントロダクション 授業の概要、予定、諸注意
第2回 10月15日 浄土教美術の諸相 レジメ Q&A
第3回 10月22日 浄土教の成立と主要経典の内容 レジメ Q&A
第4回 10月29日 インドから中央アジアへ レジメ Q&A
第5回 11月12日 日本における浄土教の歴史 (1) レジメ Q&A
第6回 11月19日 日本における浄土教の歴史 (2) レジメ Q&A
第7回 11月26日 高僧たちの物語と絵巻:法然、親鸞、蓮如 レジメ Q&A
第8回 12月3日 浄土変相図と當麻曼荼羅 レジメ Q&A
第9回 12月10日 来迎図と迎接の阿弥陀 レジメ Q&A
第10回 12月17日 山越阿弥陀と臨終行儀・迎講 レジメ Q&A
第11回 1月7日 六道絵をめぐって レジメ Q&A
第12回 1月21日 二河白道図の仕掛け レジメ Q&A
第13回 1月29日 平等院鳳凰堂と中尊寺金堂:浄土教建築の諸相 レジメ Q&A
授業のQ&Aをひとつのファイルにまとめました(pdf)