平成18年度後期 仏教学特殊講義

<講義題目>

マンダラから見た日本の宗教

<キーワード>

マンダラ 文化の受容と変容 密教 神道 修験道

<授業の目標>

インドから日本に伝えられたマンダラが、仏教、神道、修験道などの諸宗教において、どのような展開を示したかを明らかにする。

<学生の目標>

日本におけるマンダラの受容と変容を通して、インドと日本の文化の相違や、それぞれの特質についての理解を深める。

<講義の概要>

 インド密教で生まれたマンダラ(曼荼羅)は平安時代初期に日本にもたらされた。本来、マンダラは密教の教理や実践と密接に結びついた「仏の世界図」であったが、日本では密教以外の宗教においても、さまざまなマンダラが作られるようになった。すなわち、浄土教曼荼羅、神道曼荼羅、社寺参詣曼荼羅、法華曼荼羅などである。そこでは、マンダラが景観図、浄土図、来迎図、絵巻物などのさまざまな形式の絵画作品とも結びついた。一方、密教においても、インドには存在しない別尊曼荼羅と呼ばれる特殊な形態のマンダラが、数多く作り出された。
 この授業では日本におけるこのような多様なマンダラを体系的に取り上げ、その具体的な形態や意味するもの、歴史的背景、美術史上の意義などを明らかにしたい。

<レポートの課題>

 授業では日本のマンダラとして両界曼荼羅、別尊曼荼羅、神道曼荼羅(垂迹曼荼羅)、浄土教の曼荼羅、社寺参詣曼荼羅をとりあげました。その中で、日本では特定の仏教絵画にたいして「曼荼羅」という名称を与えることが好まれ、さまざまな日本独自の曼荼羅が生まれたことと、それと平行して、これらの曼荼羅が本来の密教の曼荼羅とはかけはなれたものになっていったことを紹介しました。レポートでは授業の全体の流れを前半でまとめ、後半では「なぜ日本では密教本来の曼荼羅から遠ざかっていったか」について、考察してください。私の解釈や考え方にとらわれず、皆さんの斬新な見方を期待しています。(執筆・提出要領はこちらのpdfファイルを参照)

<参考書> 

 『日本の美術』(至文堂)シリーズの該当する巻
頼富本宏『曼荼羅鑑賞の基礎知識』至文堂 1991

<授業の予定と各回のテーマ>

第1回 10月2日 オリエンテーション 授業の概要、予定、諸注意
第2回 10月16日 両界曼荼羅の構造と代表例 レジメ Q&A
第3回 10月23日 別尊曼荼羅(1)別尊曼荼羅総論 まとめのpdf レジメ Q&A
第4回 10月30日 別尊曼荼羅(2)修法との関わり レジメ Q&A
第5回 11月13日 神道曼荼羅(1)本地仏と垂迹神 レジメ Q&A
第6回 11月20日 神道曼荼羅(2)日吉山王曼荼羅の世界 レジメ Q&A
第7回 11月27日 浄土教の曼荼羅(1)阿弥陀如来と浄土経曼荼羅 レジメ Q&A
第8回 12月4日 浄土教の曼荼羅(2)當麻曼荼羅 レジメ Q&A
第9回 12月11日 浄土教の曼荼羅(3)浄土図から来迎図へ レジメ Q&A
第10回 12月18日 浄土教の曼荼羅(4)迎接曼荼羅と迎講 レジメ Q&A
第11回 1月15日 社寺参詣曼荼羅(1)那智参詣曼荼羅 レジメ Q&A
第12回 1月22日 社寺参詣曼荼羅(2)立山曼荼羅 レジメ Q&A
第13回 1月29日 まとめと展望 レジメ Q&A

<オフィスアワー>

火曜日 15:00-17:00
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