平成17年度前期 仏教学特殊講義

<講義題目>

ヒマラヤと東南アジアの仏教美術

<キーワード>

チベット ネパール インドネシア カンボジア 仏教美術 図像学

<授業の目標>

チベット、ネパールというヒマラヤ地域と、インドネシア、カンボジアなどの東南アジアの仏教美術についての知識を深める。

<学生の目標>

インドの周辺地域であるチベット、ネパール、東南アジアの仏教美術を通じて、文化の伝播と変容についての理解を深める。

<講義の概要>

 インドで生まれた仏教はアジアの各地へと伝播したが、仏像や絵画などの造型作品も、仏教の教えとともに伝えられた。なかでも、インドの北に位置するネパールやチベットは、インドの大乗仏教や密教の美術の伝統を受け継ぎ、現在にいたるまで忠実に継承している。これらの地域の仏教美術は、日本の仏教美術とはまったく異なる印象を与えるため、日本人にとってはなじみがうすいが、アジアの仏教美術を考える上できわめて重要な位置を占める。彫刻や絵画の形で残る仏たちの姿やマンダラを通じて、ヒマラヤの地域に花開いた仏教美術の粋を紹介したい。寺院などの建造物の持つ構造や象徴的な意味なども扱う。
 一方、現在では上座部仏教のイメージの強い東南アジアにおいても、かつては大乗仏教や密教が栄えた時代があった。ボロブドゥールやアンコール・ワットなどの遺跡が名高いが、それ以外にも各地に重要な遺跡や遺品が残る。現地の宗教やヒンドゥー教との交渉なども含め、東南アジアにおける仏教美術の受容と展開を考察する。

<授業の予定と各回のテーマ>

第1回 4月18日 オリエンテーションと受講受付 授業の概要、予定、諸注意
第2回 4月25日 チベットの仏教美術への招待:歴史・地域・宗派 レジメ Q&A
第3回 5月9日 チベット仏教美術の主題、素材、形式 レジメ Q&A
第4回 5月16日 チベット仏教美術の主題、素材、形式(承前) Q&A
第5回 5月23日 カシミール様式と西チベットの仏教美術 レジメ Q&A
第6回 5月30日 初期の中央チベット様式とインドの密教美術 レジメ Q&A
第7回 6月6日 サキャ派様式の祖師像とマンダラ レジメ Q&A
第8回 6月13日 ペンコル・チューデ仏塔の壁画 レジメ Q&A
第9回 6月20日 歴代パンチェンラマのタンカ・セット レジメ Q&A
第10回 6月27日 承徳の外八廟と明代、清代のチベット美術 レジメ Q&A
第11回 7月4日 ボロブドゥールとジャワ島の仏教美術 レジメ Q&A
第12回 7月11日 アンコールワットとクメール美術 レジメ Q&A