平成18年度後期 仏教文化論

<講義題目>

仏教の信仰と美術:弥勒・文殊・普賢を中心に

<キーワード>

大乗菩薩 仏像 信仰 図像学 美術史

<授業の目標>

代表的な仏教のほとけたちである文殊、弥勒、普賢を題材にして、仏教とはいかなる宗教であり、どのようなイメージを残したのかを明らかにする。

<学生の目標>

仏像などの造形作品や、特定の仏に対する信仰形態から、仏教文化の持つさまざまなすがたを知る。

<講義の概要>

 文殊、弥勒、普賢は大乗仏教の代表的な菩薩である。いずれもインド、中国、日本などの大乗仏教が信奉された国々で絶大な信仰を集めた。しかし、これらの仏たちはそれぞれ固有の性格を有し、たとえば文殊は智慧の仏、弥勒は人々の救済者、普賢は真摯な求道者というイメージを持つ。この授業では、この三尊を中心に仏教をとらえ直し、人々が仏や仏像に対して何を求め、何を祈ったかを考えたい。それによって、アジアにおける仏教文化の多様性を明らかにするとともに、時代や地域を越えた一貫性をも示したい。
 授業はスライドなどを用いた講義が中心となる。出席者には毎回、授業に対する質問・コメントの提出を求める。

<レポートの課題>

 授業では弥勒、文殊、普賢を取り上げ、それぞれの造形と信仰を考察しました。仏像や仏画に見られる形態は、何らかの意味を持つとともに、作品が生み出された文化的な背景や人々の信仰と密接な関係があることを紹介しました。これをふまえ、授業では取り上げなかった日本の仏教美術の作品を1点選び、その形態と信仰(儀礼や実践を含む)の関係を説明しなさい。取り上げる仏は観音、阿弥陀など、弥勒、文殊、普賢以外でもけっこうです。作品解説の受け売りではなく、自分自身の考えをできるだけ盛り込むように。なお、取り上げた作品の名称、所蔵・所在、参照した図版を掲載する文献について、必ず明記すること。(執筆・提出要領はこちらのpdfファイルを参照)

<参考書>

『日本の美術』(至文堂)シリーズの該当する巻
(弥勒No. 316、文殊No. 314、普賢No. 310)
紺野敏文『日本の仏像大百科 第2巻 菩薩』ぎょうせい, 1990

<授業の予定と各回のテーマ>

第1回 10月5日 オリエンテーション 授業の概要、予定、諸注意
第2回 10月12日 大乗仏教の若き勇者たち レジメ Q&A
第3回 10月19日 弥勒(1)信仰と文献 レジメ Q&A
第4回 10月26日 弥勒(2)神話と造形 レジメ Q&A
第5回 11月9日 弥勒(3)救済者としての弥勒 レジメ Q&A
第6回 11月16日 弥勒(4)弥勒信仰の諸相 レジメ Q&A
第7回 11月30日 文殊(1)童子神の姿 レジメ Q&A
第8回 12月7日 文殊(2)五台山文殊 レジメ Q&A
第9回 12月14日 文殊(3)忍性の文殊信仰 レジメ Q&A
第10回 12月21日 文殊(4)個の救済・社会とのかかわり レジメ Q&A
第11回 1月11日 普賢(1)普賢と十羅刹女 レジメ Q&A
第12回 1月18日 普賢(2)普賢延命法 レジメ Q&A
第13回 1月25日 まとめと展望 レジメ Q&A

<オフィスアワー>

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