平成14年度 教養的授業科目


<講義題目>

密教美術の世界

<講義の目的及び内容>

 密教美術のさまざまなすがたを、インド、ネパール、チベット、日本の作品を通して知る。絵画や彫刻を「読み解く」ことで、作品が成立した背景、伝承の過程における変容、その文化史的意義などを考察する。仏像や古寺をたずね歩くことが、一種のブームになっているという。仏像の鑑賞や巡礼が「癒し」という言葉と結びつけて語られることも多い。たしかに日本の仏教美術の持つすぐれた芸術性や精神性は、他に類を見ないものである。しかし、単に表面的な美のみを鑑賞しても、これらの宗教芸術を本当に理解したことにはならない。作品を生みだした思想や教理、イメージに託された意味、制作や保存にあたった人々の意識、当時の社会状況など、あらゆる要因を多角的に検討することで、作品の本質に近づくことができる。この授業では、実際の作品をスライド等で示しながら、密教美術へのさまざまなアプローチを試みる。

<授業の予定と各回のテーマ>

オリエンテーションと受講受付
第1回 序論(1) インド密教美術への招待
第2回 序論(2)インドの仏教美術の流れ
第3回 源流としてのインド(1) パーラ朝期の密教 Q&A
第4回 源流としてのインド(2) 日本密教の源流? Q&A
第5回 多様化する仏たち(1) パンテオンの構造 Q&A
第6回 多様化する仏たち(2) 画一化するイメージ Q&A
第7回 仏塔という宇宙(1) 仏塔と仏教世界観 Q&A
第8回 仏塔という宇宙(2) 再生する世界
Q&A
第9回 天界の模式図マンダラ(1) マンダラとは何か Q&A
第10回 天界の模式図マンダラ(2) マンダラと儀礼
Q&A
第11回 仏教の仏と異教の神
Q&A
第12回 エピローグ
Q&A