胎蔵曼荼羅と金剛界曼荼羅からなる両界曼荼羅は、平安時代初期に空海によって請来されて以来、日本の曼荼羅の中心的位置を占めて現在に至る。前期のこの授業では両界曼荼羅を取り上げ、その構造、所依の経典との関係、日本における両界曼荼羅の歴史などをふまえた上で、主要な作品についての図像学的考察を行う。アジア各地に残る金剛界や胎蔵の曼荼羅も視野に入れて、日本における両界曼荼羅の独自の展開に関しても、検討を加える。授業は受講生の発表を中心にすすめる。
後期は別尊曼荼羅を取り上げる。別尊曼荼羅はおもに平安時代に真言宗、天台宗において生み出されたさまざまな曼荼羅で、金剛界と胎蔵界の両界曼荼羅と区別してこう呼ばれる。日本において別尊曼荼羅が作られた背景には、平安時代の密教が修法を中心とした儀礼を重視したことによる。この授業では別尊曼荼羅の主要な作例を取り上げ、その構造と意味、典拠となる経典や儀軌、修法との関係、歴史的な意義などの解明を行う。授業は受講生の発表を中心にすすめる。
比較文化以外のコース所属で、日本の文化に関心を持つ学生の受講も歓迎する。
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