第9回 地獄絵・六道絵・九相詩絵巻
日本における身体観



九相詩絵巻

腐乱していく死体
リアルな描写
死体を瞑想するということ

聖衆来迎寺本 六道絵

六道絵の最高傑作
『往生要集』の可視化
図像のパッチワーク
苦しみだけの輪廻?

地獄道

冷静・勤勉な獄卒はどこかユーモラス
逃げまどう罪人たち
子どもと大人との対比
かいま見える性的なモチーフ

人道・天道

老いと美女との対比
性的な関心からの死体観察(王妃、皇后、美女・・・)
生老病死の四苦、怨憎会苦などの八苦
天人五衰

その後の展開

『出光美術館本 六道十王図』女性への偏愛
『北野天神縁起絵巻』カリカチュア・滑稽化
『熊野観心十界図』女性をターゲットに
身体への関心の希薄化


文献
加須屋誠編 2000 『地獄と極楽 イメージとしての他界』(週刊朝日百科『日本の国宝』別冊国宝と歴史の旅6)朝日新聞社。
加須屋誠 2003 『仏教説話画の構造と機能』中央公論美術出版。
真保 享(監修・文)・金子圭三(写真) 1977 『六道絵』毎日新聞社。
真保 享 1991 『北野天神縁起 日本の美術299』至文堂。
鷹巣 純 1993 「めぐりわたる悪道:長岳寺本六道十王図の図像をめぐって」『仏教芸術』175。
鷹巣 純 1996 「六道十王図のコスモロジー」立川武蔵編『マンダラ宇宙論』法蔵館、pp. 271-303。
鷹巣 純 2007 「腐乱死体のイコノロジー?九相詩図像の周辺?」『説話文学研究』42: 125-132.
中野玄三 1989 『六道絵の美術』淡光社。
宮 次男 1988 『日本の美術 no. 271 六道絵』至文堂。
『最澄と天台の国宝』京都国立博物館、2005.
『北野天満宮神宝展』2001 京都国立博物館・東京新聞。



(c) MORI Masahide, All rights reserved.